「最近よく聞くUSスチールって、一体なに?」
ニュースで「USスチールと日本製鉄が提携」と聞いたけど、そもそもUSスチールって何の会社? トランプ大統領が「歴史的合意だ!」と持ち上げたことでも話題になっています。
とはいえ、「鉄鋼会社ってそんなに大事なの?」とピンとこない人も多いはず。そこで今回は、このUSスチールという会社がどういう存在なのか、なぜ日本が関わっているのかを、ざっくり解説します。
鉄鋼界の“伝説” USスチールとは?
USスチール(United States Steel Corporation)は1901年に設立された、アメリカを代表する老舗鉄鋼会社です。
創業に関わったのは、アメリカ資本主義のレジェンド、アンドリュー・カーネギーやJ.P.モルガン。設立直後には、世界で初めて「時価総額10億ドル」を突破した企業として歴史に名を刻みました。
20世紀前半には、アメリカの工業発展を象徴する企業で、エンパイア・ステート・ビルなどの巨大建造物にも関わっていたと言われています。まさに「鉄の王者」でした。
最近のUSスチール 伝説から“再建中”へ
しかし時代が進むにつれ、世界の鉄鋼競争は激化。安い鉄を大量に供給するアジア勢に押され、USスチールは「過去の名門」扱いされることも。
現在の社員数は全米で約1万4,000人。その多くが労働組合に属しており、地域に根付いた企業ではあるものの、すでに“最大手”とは言えません。
そんな中で注目されたのが、日本製鉄(旧・新日鉄住金)との提携話です。
日本製鉄とタッグ、その背景は?
日本製鉄がUSスチールを買収しようとするニュースが浮上。買収額はなんと143億ドル(約2兆円超)。しかしこの動きにはアメリカ国内から大きな反発がありました。
「アメリカの象徴企業を外国が支配していいのか?」という声が噴出。バイデン政権は国家安全保障の観点から買収をストップ。
ところがトランプ大統領は立場を変え、2025年5月には「これは買収ではなく、提携だ」と発表。「140億ドルの投資で7万人の雇用を生む」とSNSに投稿し、支持を表明しました。
とはいえ、「どこまでが買収で、どこまでが提携なのか」は曖昧なままです。
トランプ大統領と“関税引き上げ”の狙い
トランプ大統領は、USスチールを強く支持する姿勢を示しつつ、「鉄鋼関税を25%から50%に倍増する」と発表。
これは、安い海外鉄鋼の流入を防ぎ、アメリカ国内の産業を守るという名目。ただし、実際には貿易相手国との摩擦を招く可能性もあり、経済への影響は不透明です。
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